4-2 雨乞いの池
同郡中芳養村「どろ本」の石地蔵は畑のなかに立っている。雨乞いにこの像を首まで川水に浸す。万呂村では日照りになると下万呂の天王の社(※現 須佐神社※)の前の池の端で一同で酒を飲み、「雨降れ溜まれ蛙子、雫垂れイモリ」と繰り返し歌った。蛙やイモリまでも雨を乞うの意味か。近年このことは絶えた。
件の天王池はすこぶる深く、古より樋を全く抜いたことはない。今日全く抜こうと評定が決して、断行しかけると必ず雨が降る。また秋津村の「さこ谷」の奥の大池も、樋を抜きに行くと、その人々が池に達しないうちに、かならず強く雨が降ってくる。この池にすこぶる大きな鯉が主として棲むそうな。