紀州俗伝(現代語訳4-2)

紀州俗伝(現代語訳)

  • 3-1 師走狐
  • 3-2 狐の仕返し
  • 3-3 ホタル来い
  • 3-4 雀と燕
  • 3-5 今生まれた子限り
  • 3-6 カイコの舎利
  • 3-7 月の8日
  • 3-8 欲深いシャレ
  • 3-9 2つの鐘
  • 3-10 比丘尼剥
  • 4-1 師走狐の鳴き声
  • 4-2 雨乞いの池
  • 4-3 フクロウと天気
  • 4-4 ホタル来い
  • 4-5 鰹鳥
  • 4-6 宵の蜘蛛、朝の蜘蛛
  • 4-7 他人の足の裏
  • 4-8 狐と硫黄
  • 4-9 早口言葉
  • 4-10 狼を山の神と
  • 4-11 女に化けるアナグマ
  • 4-12 葉巻煙草
  • 4-13 一文蛤
  • 4-14 高野山の井戸
  • 4-15 蝸牛の囃し詞
  • 4-16 壁の腰張り
  • 4-17 ムカデとマムシ
  • 4-18 足のしびれを直す方法
  • 4-19 熊野詣の手鞠唄異伝2
  • 4-20 人買い
  • 4-21 ホオズキ
  • 4-22 玄猪
  • 4-23 茶釜の蓋
  • 4-24 コオロギの鳴き声
  • 4-25 トンボ捕り
  • 4-26 そばまきとんぼ
  • 4-27 木偶茶屋
  • 4-28 七つ七里
  • 4-29 油虫

  • 4-2 雨乞いの池

     

    須佐神社
    須佐神社 / み熊野ねっと

     同郡中芳養村「どろ本」の石地蔵は畑のなかに立っている。雨乞いにこの像を首まで川水に浸す。万呂村では日照りになると下万呂の天王の社(※現 須佐神社※)の前の池の端で一同で酒を飲み、「雨降れ溜まれ蛙子、雫垂れイモリ」と繰り返し歌った。蛙やイモリまでも雨を乞うの意味か。近年このことは絶えた。

    件の天王池はすこぶる深く、古より樋を全く抜いたことはない。今日全く抜こうと評定が決して、断行しかけると必ず雨が降る。また秋津村の「さこ谷」の奥の大池も、樋を抜きに行くと、その人々が池に達しないうちに、かならず強く雨が降ってくる。この池にすこぶる大きな鯉が主として棲むそうな。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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