4-12 葉巻煙草
熊野に遊んだ人は熟知しているが、潮見峠より東では昔からツバキの葉で煙草を巻いて吸う。木板を頭に載せ山路を通う婦女は殊にそうする。手ずから巻いて火をつける手際は他所の人には真似しがたい。
歯のない老婆など、件の葉巻をムクロジの実の孔に管所たるに(※?※)挿して吸い歩く。
またツバキの葉に良し悪しがあって、選択に念を入れ、路傍の一文店で列で売る。古い狂歌に「熊野路は煙管なくても須磨の浦、青葉くわえて口は敦盛」。
熊野に遊んだ人は熟知しているが、潮見峠より東では昔からツバキの葉で煙草を巻いて吸う。木板を頭に載せ山路を通う婦女は殊にそうする。手ずから巻いて火をつける手際は他所の人には真似しがたい。
歯のない老婆など、件の葉巻をムクロジの実の孔に管所たるに(※?※)挿して吸い歩く。
またツバキの葉に良し悪しがあって、選択に念を入れ、路傍の一文店で列で売る。古い狂歌に「熊野路は煙管なくても須磨の浦、青葉くわえて口は敦盛」。
「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。
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