8-6 花咲か爺の異態
昔、老翁が疲れて石に腰掛け休む。猿どもがこれを地蔵の像と思い、柿ひとつを宛て持って来て捧げたのでたくさんの柿を得て帰る。
隣の欲深翁は自分もそうしようとして石の上に腰掛ける。猿の群が来て地蔵様は尊いので山に祀ろうといって運んで川を渡る間、「私ら陰嚢濡れても構わぬけれど、地蔵様の陰嚢濡らさぬように」と繰り返し唱える。
老翁おかしさに堪えられず笑い出すと、猿どもがこの像が笑った笑わないと言い争い、また試しに唱えるとまた笑う。よって地蔵蔵でないとわかり、大いにその詐りを憤り、山に運んでいって全身を掻いて傷つけ、老翁は大に苦しんだ。