紀州俗伝(現代語訳7-16)

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紀州俗伝(現代語訳)

  • 7-1 目が潰れる
  • 7-2 膈の治療法
  • 7-3 カニの甲羅
  • 7-4 はえ,安倍晴明
  • 7-5 誤りを正して
  • 7-6 波風を鎮める
  • 7-7 怪我したときの呪い
  • 7-8 巨蜂に刺されて
  • 7-9 カマキリ
  • 7-10 フクロウが家の近くで
  • 7-11 はしか
  • 7-12 柚の擂り粉木
  • 7-13 リスは魔物
  • 7-14 塩鰹
  • 7-15 馬
  • 7-16 立里の荒神
  • 7-17 雨栗日柿
  • 8-1 子供をくすぐるとき
  • 8-2 野猪を威す方法
  • 8-3 柚の実と鍼
  • 8-4 葬式の行列
  • 8-5 まめのは
  • 8-6 花咲か爺の異態
  • 8-7 山の天狗様
  • 8-8 木地屋

  • 7-16 立里の荒神

     

     明治19年夏、いま林学博士である川瀬善太郎氏と高野山に詣で、心願の人に頼まれて川瀬氏が立里の荒神へ参るのに、予がともに行った。小堂の壁におびただしく鎌を納め掛けてある。川瀬氏も人に頼まれた鎌を掛けて帰った。

    その近傍の「わたらえ」という所は、田辺から高野へ参る道中のすこぶる僻地だ。その地で人を葬り終わって上で火を焚き、鎌1本を柄を下にして、上に立て、竹を周囲に刺す。魔物を防ぐためだと聞いた。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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