7-16 立里の荒神
明治19年夏、いま林学博士である川瀬善太郎氏と高野山に詣で、心願の人に頼まれて川瀬氏が立里の荒神へ参るのに、予がともに行った。小堂の壁におびただしく鎌を納め掛けてある。川瀬氏も人に頼まれた鎌を掛けて帰った。
その近傍の「わたらえ」という所は、田辺から高野へ参る道中のすこぶる僻地だ。その地で人を葬り終わって上で火を焚き、鎌1本を柄を下にして、上に立て、竹を周囲に刺す。魔物を防ぐためだと聞いた。
明治19年夏、いま林学博士である川瀬善太郎氏と高野山に詣で、心願の人に頼まれて川瀬氏が立里の荒神へ参るのに、予がともに行った。小堂の壁におびただしく鎌を納め掛けてある。川瀬氏も人に頼まれた鎌を掛けて帰った。
その近傍の「わたらえ」という所は、田辺から高野へ参る道中のすこぶる僻地だ。その地で人を葬り終わって上で火を焚き、鎌1本を柄を下にして、上に立て、竹を周囲に刺す。魔物を防ぐためだと聞いた。
「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。
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