紀州俗伝(現代語訳8-2)

紀州俗伝(現代語訳)

  • 7-1 目が潰れる
  • 7-2 膈の治療法
  • 7-3 カニの甲羅
  • 7-4 はえ,安倍晴明
  • 7-5 誤りを正して
  • 7-6 波風を鎮める
  • 7-7 怪我したときの呪い
  • 7-8 巨蜂に刺されて
  • 7-9 カマキリ
  • 7-10 フクロウが家の近くで
  • 7-11 はしか
  • 7-12 柚の擂り粉木
  • 7-13 リスは魔物
  • 7-14 塩鰹
  • 7-15 馬
  • 7-16 立里の荒神
  • 7-17 雨栗日柿
  • 8-1 子供をくすぐるとき
  • 8-2 野猪を威す方法
  • 8-3 柚の実と鍼
  • 8-4 葬式の行列
  • 8-5 まめのは
  • 8-6 花咲か爺の異態
  • 8-7 山の天狗様
  • 8-8 木地屋

  • 8-2 野猪を威す方法

     

    猪
    Wild boar / mape_s

     西牟婁郡富里村大字大内川などで野猪を威す方法。

    長い竹筒の一端を削って尖らし、底のある他端に縄を巻き、中央を縄でくくり、水が流れ落ちる下に竹の尖った端の内側を上に向かって置き、中央のくくった縄を横に流し両側のありあう物に結びつけ、縄を巻いた端の下にブリキ鍋などを置く。

    そうしておくと水がその筒に満ちると筒の先端が落ち下る水に打たれて下がるゆえ筒の中の水が出終わって筒が空になり、他の端に巻いた縄の重量でその方が跳ね下がるとき下の鍋を打つ。その音が終夜止まないので野猪が怪しんで近所へ来ない。予が幼いとき有田郡津木村の者が戯れにイタドリの茎でこの通りの機を作り遊んでいるのを見た。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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