8-2 野猪を威す方法
西牟婁郡富里村大字大内川などで野猪を威す方法。
長い竹筒の一端を削って尖らし、底のある他端に縄を巻き、中央を縄でくくり、水が流れ落ちる下に竹の尖った端の内側を上に向かって置き、中央のくくった縄を横に流し両側のありあう物に結びつけ、縄を巻いた端の下にブリキ鍋などを置く。
そうしておくと水がその筒に満ちると筒の先端が落ち下る水に打たれて下がるゆえ筒の中の水が出終わって筒が空になり、他の端に巻いた縄の重量でその方が跳ね下がるとき下の鍋を打つ。その音が終夜止まないので野猪が怪しんで近所へ来ない。予が幼いとき有田郡津木村の者が戯れにイタドリの茎でこの通りの機を作り遊んでいるのを見た。