紀州の民間療法記記(原文4)

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紀州の民間療法記記(原文)

  1. 婦女の陰
  2. ニラ
  3. ツゲ
  4. ハコネシダ
  5. シーボルトミミズ
  6. キジの爪
  7. ウサギの手、モグラの手
  8. 初なすび、スベリヒユ
  9. コンニャク
  10. モグラの手 追記
  11. 菖蒲
  12. キンカン
  13. 琴の一の緒、白いアヒル、黒いチャボ
  14. サルカキイバラのキクイムシ、蜂蜜
  15. コバンザメの吸盤
  16. 蒔かずの稲の米
  17. ニワトリの頭
  18. イチジクの枝葉
  19. テリハノイバラの花
  20. 尾長糞蛆の黒焼き
  21. 病をきる
  22. 梅酢

4 ハコネソウ(ハコネシダ)

 

 「おとなえそう」というものリウマチに神効ありとて、熊野辺を求め行く人多し。前年予那智におった時、二十里ばかり旅して求めに来た人があった。予諸処でその草を大切に蔵するのを見ると、 箱根草という羊歯に外ならぬ。『和漢三才図会』九二末に、「相伝えていう、よく産前産後の諸血症および痰飲を治す、と。往年オランダ人これを見て良き草ありと称し、請いてこれを採りえて、はなはだもって珍となせり」と。箱根で採ったから箱根草と言ったらしい。

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「紀州の民間療法記記」は『南方熊楠全集 第2巻』(平凡社)に所収。

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