4 ハコネソウ(ハコネシダ)
「おとなえそう」というものリウマチに神効ありとて、熊野辺を求め行く人多し。前年予那智におった時、二十里ばかり旅して求めに来た人があった。予諸処でその草を大切に蔵するのを見ると、 箱根草という羊歯に外ならぬ。『和漢三才図会』九二末に、「相伝えていう、よく産前産後の諸血症および痰飲を治す、と。往年オランダ人これを見て良き草ありと称し、請いてこれを採りえて、はなはだもって珍となせり」と。箱根で採ったから箱根草と言ったらしい。
「おとなえそう」というものリウマチに神効ありとて、熊野辺を求め行く人多し。前年予那智におった時、二十里ばかり旅して求めに来た人があった。予諸処でその草を大切に蔵するのを見ると、 箱根草という羊歯に外ならぬ。『和漢三才図会』九二末に、「相伝えていう、よく産前産後の諸血症および痰飲を治す、と。往年オランダ人これを見て良き草ありと称し、請いてこれを採りえて、はなはだもって珍となせり」と。箱根で採ったから箱根草と言ったらしい。
「紀州の民間療法記記」は『南方熊楠全集 第2巻』(平凡社)に所収。
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