8 初なすび、スベリヒユ
初茄子を一つ、小児の臥処(ふしど)の上に釣りおくと、その夏汗疱(あせぼ)を生ぜぬという。馬歯莧(すべりひゆ)を煠(ゆ)でると、茎より粘汁出でて色赤く蚯蚓のごときを、好んで食う人あり。塩でこの草の葉を揉み、汗瘡に付けると神効あり。見るうちに治するが、劇烈な物で、時として患者が気絶する由。また田辺でいうは、馬歯莧は至って精の強いものゆえ、煠でて味噌あえにして食えばイキンド(喘息の方言)を治すること妙なり。
初茄子を一つ、小児の臥処(ふしど)の上に釣りおくと、その夏汗疱(あせぼ)を生ぜぬという。馬歯莧(すべりひゆ)を煠(ゆ)でると、茎より粘汁出でて色赤く蚯蚓のごときを、好んで食う人あり。塩でこの草の葉を揉み、汗瘡に付けると神効あり。見るうちに治するが、劇烈な物で、時として患者が気絶する由。また田辺でいうは、馬歯莧は至って精の強いものゆえ、煠でて味噌あえにして食えばイキンド(喘息の方言)を治すること妙なり。
「紀州の民間療法記記」は『南方熊楠全集 第2巻』(平凡社)に所収。
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