5-18 結婚式ごっこ
今はしばしばは見ないが、以前田辺の子供は結婚式の真似をして月夜の遊戯とした。2人手を組み傾けて人力車のようにし、1人の女の子に諸兄の最も好きな帯紐簪などを貸して装わせ、嫁として乗せ、多くの子供らが随い、手を組んだ2人の子が嫁を揺らしながら「嫁さま長持いつ来るよ、明日の朝の今頃よ(あり得ないことを言うのだ)、月夜に提灯何事よ、闇夜に提灯もっともじゃ、ギコサとギコサでほーいほい」と繰り返し唱えて行く。
前方には子供らが地面の上に家の間割を書き、台所、玄関、座敷以下全て備える。嫁が到着すれば戸を開ける真似をし挨拶して迎え入れ、付き添えした者は嫁を奥の間に伴って行き、自分らは台所に行き盛餐を食う真似をするのだ。