紀州俗伝(現代語訳5-18)

紀州俗伝(現代語訳)

  • 5-1 田辺のコオロギの鳴き声
  • 5-2 卵の殻
  • 5-3 和歌山及び田辺の手鞠唄
  • 5-4 田辺の手鞠唄
  • 5-5 マタタビ
  • 5-6 4人が5人に
  • 5-7 虫除けの札
  • 5-8 胎衣
  • 5-9 揺岩
  • 5-10 数えると落ちる
  • 5-11 何度も言ったら
  • 5-12 モー疝気腹痛
  • 5-13 筆草,筆拭草,金比羅
  • 5-14 犬伏せの呪,蜂伏せの呪
  • 5-15 雷伏せの呪
  • 5-16 寒蝉の鳴き声
  • 5-17 秋の日焼け
  • 5-18 月夜の結婚式ごっこ
  • 5-19 猿を忌む
  • 5-20 護摩焚き,河童
  • 5-21 ムカデ伏せの呪
  • 5-22 味噌桶を洗うと
  • 6-1 石芋,弘法大師

  • 5-18 結婚式ごっこ

     

    月夜
    月夜 / sor

     今はしばしばは見ないが、以前田辺の子供は結婚式の真似をして月夜の遊戯とした。2人手を組み傾けて人力車のようにし、1人の女の子に諸兄の最も好きな帯紐簪などを貸して装わせ、嫁として乗せ、多くの子供らが随い、手を組んだ2人の子が嫁を揺らしながら「嫁さま長持いつ来るよ、明日の朝の今頃よ(あり得ないことを言うのだ)、月夜に提灯何事よ、闇夜に提灯もっともじゃ、ギコサとギコサでほーいほい」と繰り返し唱えて行く。

    前方には子供らが地面の上に家の間割を書き、台所、玄関、座敷以下全て備える。嫁が到着すれば戸を開ける真似をし挨拶して迎え入れ、付き添えした者は嫁を奥の間に伴って行き、自分らは台所に行き盛餐を食う真似をするのだ。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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