5-14 犬伏せの呪、蜂伏せの呪
Desert Dog Looking for Trouble / kretyen
崎下氏はいま27歳。15のとき、故郷上芳養で村で他人の使いをしに歩くとき、毎夜犬に吠えられすこぶる困る。この前和尚であったが還俗した人が犬を伏せる方法を教えてくれた。
犬に向かい、戊亥申酉より丑子まで十二支を逆に3度唱えれば、決して吠えないと。ちなみに一夜寝ずに熟練して、犬に向かい試みたが、ちっとも効がなかった。
ある人に語って別の方を授かる。戊亥子丑寅と五支の名を唱えつつ5指を折り固めるのだ。これもその験を見なかった
また山野で草を刈るとき、人の身長ほどの小木に七里蜂の巣があり、どうもすれば蜂が飛び出てはなはだ迷惑しする。上芳養の村人はときどき蜂伏せの呪を行うがはなはだ効がある。その法は木の葉1枚を採り、「シッポウキョウソワカ」(七宝篋蘇婆訶?)と3度唱え、竹棹の先を割ってその葉を挟み、蜂の巣に寄せ懸ければ蜂は飛び出ない。たとえ出るとしても刺さない。ただし何の秘咒も、無闇に人に話すと効かぬものだと。