博物志

南方熊楠の書庫

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    『博物志』は中国、晋代の民俗風物誌。10巻。張華著。山川・物産・外国・異人・異俗・獣鳥虫魚・薬物・服飾・器名などについての珍しい話を集めている。



    博物志

    南方熊楠の随筆:山神オコゼ魚を好むと云う事(現代語訳1)
    支那でも、『博物志』巻八に、「雨を止める祝にいわく、天は五穀を育てて、もって人民を養う。今、天雨降ること止まず、もって五穀を損なう、 いかに、いかに、と。霊にして幸せざれば、牲を殺してもって神霊をまつる。雨すなわち止まざれば、鼓を鳴らしてこれを攻め、朱緑の縄をめぐらしてこれを脅かす」と載せている。

    南方熊楠の随筆:猴に関する伝説(その34)
    張華の『博物志』三に〈蜀山の南高山上に物あり、※(「けものへん+彌」、第3水準1-87-82)猴のごとく たけ 七尺、能く人行健走す、名づけて 猴※ こうかく [#「けものへん+矍」、127-10]という、一名馬化、同じく道を行く婦人に、好き者あればすなわちこれを盗みて以て去る〉、

    南方熊楠の随筆:田原藤太竜宮入りの話(その31)
    博物志』に孔子の弟子 澹台滅明 たんだいめつめい たま を持って河を渡る時、河伯その璧を欲し二蛟をして船を夾ましむ。滅明左に璧右に剣を操って蛟を撃ち殺し、さてこんな目腐り璧はくれてやろうと三度投げ込んだ。河伯も気の毒かつその短気に恐縮し三度まで投げ帰したので、 一旦 いったん 見切った物を取り納むるような男じゃねーぞと滅明滅多無性に りき み散らし、璧を こわ して去ったと出づ

    南方熊楠の随筆:虎に関する史話と伝説民俗(その18)
    また『博物志』に〈洞庭の山帝の二女啼き、涕を以て竹に揮い竹ことごとく斑なり、今 下雋 かしゅん に斑皮竹あり〉、わが邦の虎斑竹のごとく斑ある竹をの二女娥皇と女英が夫舜に死なれて いた涙の痕としたのだ、

    南方熊楠の随筆:鶏に関する伝説(その22)
    また支那でヤモリを守宮というは、 くだん の『回教伝説』にヤモリ帝釈宮門を守るというに符合する。この属の物は多く門や壁を這うからどこでも似た名を付けるのじゃ。それに張華が、蜥蜴、あるいは ※(「虫+偃のつくり」、第4水準2-87-63) えんてい と名づく。器を以て養うに朱砂を以てすれば体ことごとく赤し、食うところ七斤に満ちて、始め くこと万 しょ にして女の支体に点ずれば、終年滅せず、ただ房室の事あればすなわち滅す(宮女を守る)。故に守宮と号す。伝えいう東方朔、漢の武帝に語り、これを試むるに験あり(『博物志』四)といえるは、 はや く守宮の名あるについて、かかる解釈を 捏造 ねつぞう したのだ。

    南方熊楠の随筆:兎に関する民俗と伝説(その3)
    ※(「土へん+婢のつくり」、第3水準1-15-49)雅』に咀嚼するものは九 きょう にして胎生するに独り兎は雌雄とも八竅にして吐生すと見え、『博物志』には〈兎月を望んで孕み、口中より子を吐く、故にこれを という、兎は吐なり〉と出づ。雌雄ともに八竅とは鳥類同様生殖と排穢の両機が一穴に兼備され居るちゅう事で兎の陰具は平生ちょっと外へ見えぬからいい出したらしい、 王充 おうじゅう の『 論衡 ろんこう 』に兎の雌は雄の めて孕むとある、『楚辞』に顧兎とあるは注に顧兎月の腹にあるを天下の兎が望み見て気を感じて孕むと見ゆ、従って仲秋月の明暗を見て兎生まるる多少を知るなど説き出した。


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