14-5 馬を忌む稲荷神社
田辺の近所の稲成村の稲荷神社は、伏見の稲荷より由緒古く正しいものを、むかし証文を伏見へ借り取られて威勢がその下になったと言う。今も神林鬱蒼たる大社だが、この神ははなはだ馬を忌み、大正2年夏の大日照りにも鳥居前で2、3疋馬駆(うまかけ)すると、翌日たちまち少雨降り、その翌日より大いに降ったと言う。しかしながら老人に聞くと、以前はこの鳥居前に馬場あって例祭に馬駆したと言う。そうであれば馬場がなくなってから、神が馬嫌いになったものか。
田辺の近所の稲成村の稲荷神社は、伏見の稲荷より由緒古く正しいものを、むかし証文を伏見へ借り取られて威勢がその下になったと言う。今も神林鬱蒼たる大社だが、この神ははなはだ馬を忌み、大正2年夏の大日照りにも鳥居前で2、3疋馬駆(うまかけ)すると、翌日たちまち少雨降り、その翌日より大いに降ったと言う。しかしながら老人に聞くと、以前はこの鳥居前に馬場あって例祭に馬駆したと言う。そうであれば馬場がなくなってから、神が馬嫌いになったものか。
「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。
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