紀州俗伝(現代語訳14-5)

紀州俗伝(現代語訳)

  • 14-1 打出の小槌
  • 14-2 蟻の群れ
  • 14-3 アナグマが女に化けること
  • 14-4 猴神社
  • 14-5 馬を忌む稲荷神社
  • 14-6 紀州豊年米食わず
  • 14-7 猫が蟻を
  • 14-8 犬の脚
  • 14-9 盗人避けのまじない
  • 14-10 陰暦十月亥の月
  • 14-11 毒虫毒魚に刺された時
  • 15-1 紀州の七人塚
  • 15-2 血を吸わない蛭
  • 15-3 肉吸いという鬼

  • 14-5 馬を忌む稲荷神社

     

    伊作田稲荷神社
    伊作田稲荷神社 / み熊野ねっと

     田辺の近所の稲成村稲荷神社は、伏見の稲荷より由緒古く正しいものを、むかし証文を伏見へ借り取られて威勢がその下になったと言う。今も神林鬱蒼たる大社だが、この神ははなはだ馬を忌み、大正2年夏の大日照りにも鳥居前で2、3疋馬駆(うまかけ)すると、翌日たちまち少雨降り、その翌日より大いに降ったと言う。しかしながら老人に聞くと、以前はこの鳥居前に馬場あって例祭に馬駆したと言う。そうであれば馬場がなくなってから、神が馬嫌いになったものか。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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