14-8 猫が蟻を
西牟婁郡下芳養村の老人が言ったことには、昔は犬は3脚で五徳(鋳鉄製の鍋を懸ける器)は4脚あった。弘法大師が物を書いているとき、笑という字を忘れ困り果てていたところ、犬が簀(す:すだれ)をかぶって歩んで来たので、犬が竹をかぶれば笑の字となると悟り、大いに悦んで五徳の脚を3本に減らし、その1脚を犬に与えて4脚とした。その報恩に今も犬は尿するとき必ず1脚を上げると。
西牟婁郡下芳養村の老人が言ったことには、昔は犬は3脚で五徳(鋳鉄製の鍋を懸ける器)は4脚あった。弘法大師が物を書いているとき、笑という字を忘れ困り果てていたところ、犬が簀(す:すだれ)をかぶって歩んで来たので、犬が竹をかぶれば笑の字となると悟り、大いに悦んで五徳の脚を3本に減らし、その1脚を犬に与えて4脚とした。その報恩に今も犬は尿するとき必ず1脚を上げると。
「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。
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