ハリセンボン
20091113 Aquarium 12 / BONGURI
貴説「山の神とヲコゼ」(『人類学雑誌』4月10日の分、52頁)に載せた『世話尽』は明暦2年刻とも承応3年刻とも申す。『犬子集』は松永貞徳撰、寛永8年から10年正月になって記しおわると申す。『毛吹草』は、小生も毎度諸書に引かれているのを見るけれどちょっとわからない。いずれも小生未見の書です。
針千本(※図あり。図は本で見てください※)は、このようなものでフグの類でございます。これより長いものをハリフグ(※図あり。図は本で見てください※)と申します。針千本は少なく(北国の海にいるとのこと)ハリフグはこの辺でもしばしば見ます。油が多いもので、取るとたちまち腐る。しかし、乾物にして店の飾りなどにすることが欧米に多い。
米国でオイスター・ハウスと申し、下等男女の待ち合いのような家には、多くはこれを牡蠣の殻とともにかんばん的に店頭に置いてあります。以前魔を防いだ余風と存ぜられます。インドの神にこれを使い物にする神があるのをひかえておきましたが、ある説では海胆(ウニ)のことと申します。この他には伝説はひとつも存じません。
上野博物館に明治17年ころ毎度行ってみたが、2品ともありました。明治30年の『帝国博物館魚類標本目録』を見ると、ハリフグは Diodon histrix L.、ハリセンボンは Diodon maculatus Gunther とあり、ふたつながら標本を東京市場で得たということを記してある。
右、はなはだきれぎれの話ばかりですが、纏めてご覧くださいませ。
貴下の、舞と音楽のことの説「踊の今と昔」のご参考に、 Seven Hedin, 'Trans- Himalaya', London, 1909, vol.ii, p.390-391 のあいだの板からこの図を写し申し上げます。むかし唐代に鞨鼓(かっこ)がはなはだ流行ったことは、玄宗のことなどを記したものに見えます。
思うにこれに図してあるチベットの鼓舞は(※図あり。図は本で見てください※)、そのころの遺風で、我が国で行なわれる種々の鼓をもって踊る舞と同源に出たものと存ぜられます。
(今回のご通知は右にて擱筆仕ります。書き終わったのは5月25日夕方で、書き始めた日からかれこれ1週間かかりました。)