田螺
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○田螺、この物は多少神異とされたのだろうか。『常山紀談』(続帝国文庫本637頁)に大阪陣に田螺をもって軍の勝負を占った話を載せ、『武備志』でもこの兆を出しているとある。日本支那のみならずカンボジアでも行われることは、予の'On Augury from Combat of Shellfish,' Nature c. 1896. に出した。またこれについてあるインド人が同雑誌に投稿してボルネオにもこの占法があると報じた。
また『奥羽永慶軍記』巻三十六に、奥羽山北の城主小野寺義通が封を奪われる前に、その小姓が早朝登城の途中、大手門内の池より、大石を引き出したような、1尺余り積もった初雪を左右に分けて土を露にした跡があるのを慕って行くと、土塀を上がり、塀三重を打ち破り坪の中に入って雪垣を破り、縁より上がり座敷に入った跡がある。入って見ると床の上に4尺ばかりの丸い物があって磐石のようだ。よく見ると田貝という物である。元の池へ捨てるのに、6〜7人が持って行った。その翌年城主が遠流となると。田貝は蛙かと思ったが、丸いと言い、這って行ったと言うので、これも田螺を指してると思われる。