想山著聞奇集

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  • 想山著聞奇集(しょうざんちょもんきしゅう)

    『想山著聞奇集』は、江戸後期の書家・随筆作者、三好想山の主著。動植物の奇談、神仏の霊異、天変地異など57話の奇談を集めた。全5巻。嘉永3年(1850年)刊。



    想山著聞奇集

    南方熊楠の随筆:本邦に於ける動物崇拝(現代語訳21)
    イワナ魚、『想山著聞奇集』巻三に、美濃信濃でこの魚が坊主に化けるという迷信が多いことを述べている。ただしその僧に化けて来て、人に漁を止めることを教え、食事をして帰り、穫られるに及んで、腹に先刻人に饗された団子があったという話は、

    南方熊楠の随筆:十二支考 蛇に関する民俗と伝説(その21)
    それから『想山著聞奇集』に、武州で捕えた白蛇の 尾尖 おさき に玉ありたりとて、図を出す。尾尖に大きな 小豆 あずき 粒ほどの、全く舎利玉通りなる物、自ずから出来いた由見ゆ。十六年ほど前、和歌山なる舎弟方の倉に、大きな 黄頷蛇 あおだいしょう の尾端 く切れて、その あと 硬化せるを見出したが、ざっとこの図に似いた。余り不思議でもなきを、『奇集』に玉と誇称したのだ。毎度尾を引き切れた蛇はかようになるらしく、ロンドン等の地下鉄道を徘徊する猫の尾が、短くなると同じ理窟だ。かく尾切れた蛇を神とし、福を祈る風大和に存すと聞いた。

    南方熊楠の随筆:十二支考 蛇に関する民俗と伝説(その25)
    想山著聞奇集』に見えたわが邦の頽馬というは、特異の旋風が馬を襲い たお すので、その死馬の肛門開脱する事、河童に殺された人の 後庭 しり と同じという。それから『説文』に、〈蛟竜属なり、魚三千六百満つ、すなわち蛟これの長たり、魚を率いて飛び去る〉。

    南方熊楠の随筆:猪に関する民俗と伝説(その6)
    想山著聞奇集』五に、野猪 さか り出す時は牝一疋に牡三、四十疋も付き まと うて噛み合い、互いに血を流し朱になっても平気で群れ歩く。この時は色情に目暮れて人をも一向恐れず、甚だ不敵になり居ると載す。

    南方熊楠の随筆:田原藤太竜宮入りの話(その26)
    想山著聞奇集』五に、 蚯蚓 みみず 蜈蚣 むかで になったと載せ、『和漢三才図会』に、蛇海に入って 石距 てながだこ に化すとあり、播州でスクチてふ魚 海豹 あざらし に化すというなど変な説だが、 うじ が蠅、 さなぎ となるなどより推して、無足の物がやや相似た有足の物に化ける事、 蝌蚪 かえるご が足を得て蛙となる同然と心得違うたのだ。これらと同様の誤見から、無足の蛇が有足の竜に化し得、また蛇を竜の子と心得た例少なからぬ。南アフリカの 蜥蜴蛇 アウロフィス など、前にも言った通り蜥蜴の足弱小に身ほとんど蛇ほど長きものを見ては誰しも蛇が蜥蜴になるものと思うだろ。


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