淵鑑類函

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    『淵鑑類函』は、中国、清代の類書。康煕帝の勅により張英・王士禎らが撰した。1710年完成。
    全450巻。天、歳時、地、帝王、花、草、木、鳥、獣、鱗介など45部に分かれる。一種の百科事典。



    淵鑑類函

    南方熊楠の随筆:蛇に関する民俗と伝説(その24)
    支那の南部に蛇精多く人に化けて、旅人の姓名を呼ぶ。旅人これを顧み こた うれば、夜必ずその 棲所 とまり に至り人を傷つく、土人枕の中に 蜈蚣 むかで を養い、頭に当て臥し、声あるを覚ゆれば枕を ひら くと蜈蚣 く蛇に走り懸り、その脳を くら うというは大眉唾物だ(『淵鑑類函』四三九)。

    南方熊楠の随筆:犬に関する伝説(その6)
    淵鑑類函』四三六には、宋の太宗の愛犬、帝朝に坐するごとに必ずまず尾を って吠えて人を静めた。帝病むに及びこの犬食せず、崩ずるに及び号呼 涕泗 ていし して 疲瘠 ひせき す。真宗 ぎ立て即位式に先導せしむると 鳴吠 めいはい 徘徊して意忍びざるがごとし、先帝の葬式に従えと さと せば悦んで尾を揺るがし もと のごとく飲食す。 みことのり して大鉄籠に絹の蒲団を施して載せ行列に参ぜしめ見る者皆落涙す。 のち 先帝を慕うの余り死んだので、詔して 敝蓋 へいがい を以てその陵側に葬ったとあり。

    南方熊楠の随筆: 鼠に関する民俗と信念(その9)
    支那でも兵器の神威を説いたもので、越王泰阿の剣を ふる えば敵の三軍破れて流血千里といい、湛盧の剣は呉王の無道を悪んで去って楚に往ったといい、漢高祖が白蛇を斬った剣は晋の時自ら庫の屋を穿って火災を のが れ飛び去った由(『淵鑑類函』二二三)。漢より晋までこの剣を皇帝の象徴と尊んだらしい。

    南方熊楠の随筆:虎に関する史話と伝説民俗(その3)
    また『淵鑑類函』に〈虎小児を食わず、児痴にして虎の懼るべきを知らず、故に食わず、また酔人を食わず、必ず坐して守り以てその むるを つ、その醒むるを俟つにあらず、その懼るるを俟つなり〉とある、自分を懼れぬ者を食わぬのだ。


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