(竜の起原と発達(続き)6)
国史にをワニと訓ませ『和名抄』『新撰字鏡』などその誤りを改めなんだは、その頃の学者博物学に暗かった
昨年十月の『郷土研究』に記者が人を捕る鮫の類は深海に棲む動物で海岸に起ったこのワニの譚に合わず、鮫すなわちワニという説は動物分布の変遷てふ事を十分考察せぬ者の所為と評しあったが、この記者自身が動物分布の変遷を一向構わぬらしい、
鮫の住所様々なるは『エンサイクロペジア・ブリタンニカ』十一版二十四巻に便宜のためこれを浜辺、大海、深海底と住所に随って
田辺浜の内の浦などいう処は近年まで鮫毎度谷鰹てふ魚を谷海とて
されば汽船発動機船などなかりし世には日本の海岸に鮫到り害を
ハワイやタヒチ等の浜辺に鮫を祭る社あって毎度鮫来り餌を受け甚だしきは祠官を負うて二十
要するに和邇が鮫にしてでなきは疑いを容れず、ただし熱地にはが海辺に出る事も鮫が川に上る事もありて動物学の心得もなき民種はこれを混用するも無理ならず、したがってオラン・ラウト人ごとく二者を兄弟としたり、ペルシアの『シャー・ナメー賦』に大海に棲むとしたは