馬鳴

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  • 馬鳴(めみょう)

    馬鳴は古代インドの仏教僧。

    馬鳴作の『仏所行讃』五巻はインド文学最高の傑作詩文といわれる。
    『大乗起信論』『大宗地玄文本論』『大荘厳論経』なども彼の著作と伝えられる。



    馬鳴

    南方熊楠の手紙:"南方マンダラ",「不思議」について,その他(現代語訳35)
    じつは竜猛(りゅうみょう)も仏である。馬鳴(めみょう)は第二仏といえる。また金粟もほとけであり、これは現世にいる(大乗では仏をムカデ1疋と見る。その一節一節がみずから活動し、全体を動かし、後節を導くものが、釈迦、竜猛、金粟であるのだ。3にして1、1にして3、争うまでもないことだ)。

    南方熊楠の随筆:十二支考 馬に関する民俗と伝説(その5)
    かかる暴君一生に九億人殺した者も、かつて馬鳴めみょう菩薩の説法を聴いた縁に依って、大海中千頭の魚となり、不断首をられるとまた首が生え須臾の間に頸が大海に満つその苦しみ言うべからず。しかるに※(「牛+建」、第3水準1-87-71)こんついの音聞える間は首斬れず苦痛少しく息むと告げたので、寺で木魚を打ち出したポコポコだそうな。

    南方熊楠の随筆:十二支考 馬に関する民俗と伝説(その11)
    馬鳴めみょう菩薩伝』にいわく、昔北天竺の小月氏国王、中天竺を伐ちて三億金を求む。中天王わが国に一億金すらなしというと、小月氏王いわく、汝が国内に、仏が持った鉢と、弁才すぐれた比丘とあり、この二大宝を二億金の代りに我によこせと、中天王惜しんで与えそうもなきを見、かの比丘説法して、世教は多難なる故、王は一国のみを化す、これに引き替え、仏道は四海に弘通ぐずうすべく、我は四海の法王たるべき身分だから何処どこへ往ったからって親疎の別を存せずというを聴いて王感服し、鉢と比丘を渡ししもうた。それを伴れて使が小月氏国へ還ると、国の諸臣議すらく、仏鉢はまことに貴く王これをあがむるはもっともだが、かの木菟入ずくにゅうこそしからぬ、あんなありふれた坊主を一億金代りに受け取ったは大勘違いでなかろうかと。

    王はもとよりかの比丘が無類の偉人で、弁才能く人間外の物をすら感ぜしむるを知ったから、諸群惑をいかにもして悟らせようと考えて、七疋の馬を五日間餓えしめ、六日目にあまねく内外の沙門と異学の徒を集め、かの比丘をしょうじて説法せしめると、一同開悟せぬはなかった。さて説法所の前に七つの馬を繋ぎ、馬は浮流草をこのめばとて浮流草を与えしも、馬ただ涙を垂れて法を聴くのみ、少しも草を食う意なき様子、天下すなわちその不世出の比丘たるを知り、馬がその恩を解したから馬鳴めみょう菩薩とづけ、北天竺に仏法を弘めたと。浮流草は詳らかならぬが水流に浮かみ、特に馬が嗜み食う藻などであろう。


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