スウィングル(Swingle, Walter Tennyson)
ウォルター・T・スウィングル(1871〜1952)。米国の農学者。米国農務省に勤務。
柑橘属の分類研究の世界的権威。
南方熊楠(1867〜1941)とは文通を通じて親しくなり、1909年には熊楠を渡米を要請。しかし、熊楠は家庭の事情により固辞。この渡米要請のことが新聞に報じられ、熊楠の国内での評価が高まりました。
1915年5月にウォルター・T・スウィングルは来日して田中長三郎(1885〜1976)とともに南方南方邸まで訪れて熊楠(1867〜1941)渡米を要請しましたが、またも熊楠は固辞。代わりに田中長三郎が米国に行くこととなりました。
スウィングル
南方熊楠の手紙:履歴書(現代語訳4)
所集の植物は今もある。大正4年に 米国植物興産局主任スウィングル氏が田辺に来て一覧した。この人も、ちょうどその頃フロリダにいたのだ。小生の所集には今も米国人の手に入らないものが多く、いまだ学会に知られないものもある。
南方熊楠の随筆:十二支考 馬に関する民俗と伝説(その7)
第一図[#図省略]に示すはこれらに近縁あるポリサックム属の二種、いずれも田辺で採った。瞥見にはこれも馬の糞生写しな菌である。今までおよそ二十種ばかり記載された事と思うが、予が知り及んだところ濠州に最多種あり、三十年ほど前欧州に四種、米国に二種、そのフロリダ州では予が初めて見出したらしく、今もその品を蔵し先年来訪されたスウィングル氏にも見せた。
南方熊楠の随筆:十二支考 馬に関する民俗と伝説(その7)
さてこの菌は、米国植物興産局の当事者たるスウィングル氏(予と同時にフロリダにあって研究した人)も近年予に聞くまで気付かなんだらしいが、予は三十年前から気が付きおり、染料として効果著しきもので、貧民どもに教えて、見るに随って集め蓄えしめたら大いに生産の一助となる事と思う。