福本日南

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  • 福本日南(ふくもと にちなん)

    福本日南(1857年〜1921年)。新聞記者、政治家。
    以前から面識のあった南方熊楠(1867年~1941年)とロンドンで再会。
    ロンドンでの熊楠との交遊を随筆『出てきた歟(か)』を1910年『大阪毎日新聞』に連載。熊楠を日本に初めて紹介したといわれます。



    福本日南

    南方熊楠の手紙:履歴書(現代語訳1)
    前日、小畦(こあぜ)氏より手紙が来て、 あなたが小生の履歴を求めていて、これを世に公開して同情者に寄付を訴えようと考えてくださっていることを知りました。しかしながら、このようなことはすでに度々友人たち(杉村楚人冠、河東碧梧桐、故福本日南田中天鐘道人など)がしてくださったことで、それぞれその人々の文集に出ておりますが、さしたる効果もなく、ただこの人々の名文で書いた小生の伝記のようなものを読んで熊楠は奇人だなどと申し伝えられるだけに留まり、まずは浮かれ節(※俗謡※)同様の聞き流しとなります。

    南方熊楠の手紙:履歴書(現代語訳12)
    かつて福本日南が小生の下宿を訪ねたときの記録文(日南文集にある)にもこのことを載せ、何とも知れない狭くてみすぼらしい部屋に寝床と尿壷だけがあって、塵埃は払ってもなくならず、しかしながら書籍と標本は、一糸乱れず整備しているのには思わず感心した、とあったと記憶する。

    南方熊楠の随筆:十二支考 虎に関する史話と伝説民俗(その9)
    この事については熊楠いまだ公けにせぬ年来の大議論があって、かつて福本日南大英博物館ブリチシュ・ミュジユムで諸標品について長々しく説教し、日南感嘆して真に天下の奇才と称揚されたが、日本の官吏など自分のきたない根性から万事万物汚く見る故折角の名説も日本では出し得ず、これを公にすると直ぐに風俗壊乱などとやられる。


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