13-2 地蔵菩薩と錫杖
地蔵菩薩と錫杖 吉田美風氏は地蔵の錫杖は日本で附け添えた物と説かれたそうだが(郷研2巻575頁)、それは間違いであろう。予は昔、欧米の諸博物館で支那やインドやチベットの仏像調査を担当したが、地蔵の相好は日本のと多く異ならない。錫杖を持ったのもあったと記憶する。
書いた物を証拠に引くと、宋高僧伝巻十四、百済国金山寺真表の伝にこの人は発心して深山に入り、自ら截髪して七宵の後、詰旦見地蔵菩薩、手揺金錫為表策、発教発戒縁、作受前方便云々とある。金錫は金色の錫杖に他ならないと思う。