フレイザー

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  • フレイザー(Frazer, Sir James George

    ジェームズ・ジョージ・フレイザー(1854〜1941)。英国の人類学者。
    金椏篇』(The Golden Bough)の著者。



    フレザー

    南方熊楠の随筆:十二支考 羊に関する民俗と伝説(その7)
    フレザー曰く、何故穀精がかく様々の動物の形を現ずると信ぜらるるかとの問いに対(こた)えん、田畑に動物が来るを見て、原始人は穀草と動物の間に神秘な関係ありと察すべく、上世今のごとく田畑を取り囲わなんだ時には、諸般の動物自在にこれに入り行(ある)き得た。故にその頃は牛馬ごとき大きな物も、遠慮なく田畑に入り行(ある)いたから、穀精牛馬形を現わすとさえ信ずる処あり、禾(か)を苅る時、兎、雉等が苅り詰められて最後の一株まで残り匿(かく)るるが、それも苅られて来り出づるを、原始人が見て禾の精が、兎、雉等に化けて逃げ出すと認め、かかる処へ知らぬ人が来会す場合には、穀精が人に現じたと考え、さてこそ穀精あるいは人、あるいは諸動物の形して現(あら)わるてふ信念が起ったのだと。

    南方熊楠の随筆:十二支考 鼠に関する民俗と信念(その5)
    フレザーの『金椏篇』初板三章に、農家が恩威並び示して田畑の害物を 禁厭 まじない する諸例を挙げていわく、古ギリシアの農書『ゲオポニカ』に百姓がその耕地より鼠を除かんと欲せば、一紙に次のごとく書くべし、ここな鼠にきっと申し渡す、貴様も他の鼠もわれを害してはならぬ、あの畑を汝に るから速く引っ越せ、今後わが地面で二度と貴様を捕えたら、諸大神の母かけて汝を七つ裂きするぞと、かく書いた紙の字面を上にして自分の畑にある少しも切れていない石に貼り付くるがよいと。

    南方熊楠の随筆:十二支考 田原藤太竜宮入りの話(その28)
    フレザーかようの話を夥しく述べた後、諸方に蛇と蜥蜴が時々皮を ぬぎかえ るを以て毎度若返るとし、昔この二物と人と死なぬよう競争して人敗し、必ず死ぬに定まったと信ずるが普通なりと結論したが、これも蛇や蜥蜴それから竜が崇拝さるる一理由らしい。

    南方熊楠の随筆:十二支考 馬に関する民俗と伝説(その41)
    フレザーの『アドニス・アッチス・オシリス』二版三九頁に、古ギリシアの王自分の娘を妻とした例多く挙げて基づくところの事実なしにかかる話は生ぜじ、またことごとく邪淫の念のみに起ったと想われぬ、そもそも王家母系のみを重んずる諸国にありては、王の后が真の王権を具し、王は単にその夫たるだけの訳で あが めらるるに過ぎず、したがって王冠が あか の他人の手に移らぬよう王はなるべくその姉妹を后とした。


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