湊村(みなとむら)
現・和歌山県田辺市湊。
南方熊楠の手紙:神社合祀に関する意見(現代語訳20)
西牟婁郡湊村の神楽神社(かぐらのやしろ)の辺りの小溜水から得たのは、従来聞いたことのない珍種で、蝸牛(かたつむり)のごとく平面に螺旋する。
南方熊楠の随筆:紀州俗伝(現代語訳3-2)
田辺町に近接している湊村に、昔、金剛院という山伏がいた。庚申山という山伏寺で山伏の寄り合いがあるので、神子浜の自宅から赴く。その途中の道に老狐が臥している。その耳に法螺を近づけて大きく吹くと、狐は大いに驚いて去る。その仕返しにかの狐が、闘雞権現社畔の池に入り、しきりに藻をかぶって金剛院に化ける。
南方熊楠の随筆:紀州俗伝(現代語訳3-9)
湊村磯間村夷の鼻という磯の前に旗島がある。田辺権現が船に乗りこの浦に来たとき、旗を立てた所と言う。夷の鼻辺りに大波が来れば鐘の音がする所がある。闘鶏社(田辺権現)内に以前松雲院という寺があり、そこに釣ろうとして鐘を2つ作り、船に積んで来たが、ここで雌雄のうちの1つが沈んだ。それが海底で鳴ると言う。
南方熊楠の随筆:紀州俗伝(現代語訳14-4)
西牟婁郡湊村字磯間は、万葉集に見えた磯間浦ということで、風景絶佳だ。猿神の古社があって今は日吉神社と号し、先年合祀されるところを予が烈しく抗議して免れた。
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