井関(いせき)
現・和歌山県東牟婁郡那智勝浦町井関。
南方熊楠の手紙:履歴書(現代語訳20)
同氏が勝浦港へ去ったのち、小生は面白い人だと思い、せめて1、2日留めて話そうと走り追って井関という所から人力車に乗り、勝浦へ着いたときはちょうど出港後であった。そのとき、小畦氏がすでに立ったか否か船会場へ小生のために見に行った中野才一郎(今年38歳)という和歌浦生まれの者が、このごろ強盗となって大阪辺を荒らし、数日前に捕われたことが昨日の『大毎』紙に見えるのも奇事である。
南方熊楠日記:1901年11月27日(現代語訳)
2人の女に1円やり、ブリキ胴乱をさげ、おいおい肩にかけ、井関を過ぎるとき、小急流中にバトラコスペルマム1種を得る。これを見ていた天満の駐在太田善之丞という巡査(海草郡宮前村)と同行、那智一ノ鳥居前にて別れ、脇道より瀑布まで行き、滝の下に下り、日没まで採集。それから歩いて帰る。井関にてマッチ1つ買い、2銭渡し、1銭損し7厘釣りをとる。この家は我が家の酒をとる正直な人とのことを後で聞く。
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