1902年3月10日:南方熊楠日記(現代語訳)

1902年3月10日

◇三月十日 快晴

朝から午後3時過ぎまで所有品を片付け、それから出て歩いて勝浦まで行く。途中、井関村から妙法道の那智川、上ノ橋の辺、梅の木でウスネア・バーバタ・アーチキュレタを取る。川関にて同種(?)が棕櫚についているのをとる。この品は正月14日にも見かけが、この辺だけで那智山にはかえってない。

天満に行く松林で1人が後から追いつく。この人の話で、汽船は近頃早いと聞いて大いに落胆、途中、西岡巡査の所に立ち寄り一礼、右の人は天満で別れる。利助方まで来ると5時過ぎである。

昨日の雨につき、船が遅れ(鳥羽丸)、9時頃入港。それに乗り(3等室は甚だ狭い。古座串本で多く乗り込み、予は草履を失う)出発、岬の辺で船が揺れる。この夜、乗船のとき切符と共に10円札を渡したが、すぐに気付き、乗込口に引き返し、ちょっと捜してわかる。上り口に落としてあったという。


メモ

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1902年の日記は『南方熊楠日記〈2〉』に所収

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