土小屋(つちごや)
現・和歌山県田辺市本宮町土河屋。
南方熊楠の随筆:山神オコゼ魚を好むと云う事(現代語訳1)
紀州西牟婁郡広見川と、東牟婁郡土小屋とはオコゼをもって山神を祭り、大利を得た人の譚を伝える。はなはだ相似ているので、そのひとつだけを述べるが、むかし人がいて、十津川の奥白谷(おくしらたに)の深林で、材木十万を伐ったが、水が乏しくて筏を出すことができなかった。よって川下にある土小屋の神社に鳥居(現存)を献じ、生きているオコゼを捧げ祈ったところ、翌朝水が多く出てその鳥居を浸し、件の谷よりここまで、筏が陸続して下り、多くの細民が生利を得た。その人がこれを見て大いに歓び、径8寸ある南天の大木に乗り、流れに任せてはるばると行った、と
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