1902年2月16日:南方熊楠日記(現代語訳)

1902年2月16日

◇二月十六日 快晴

朝、登山しようとしたが、勝浦からの便を待ち合わせ、亭主と話しているうちに午後になる。中川菊三氏のハガキを1通受ける。シンガポールへ出発の船(フランス郵船サラシー号)の中で出したものだ。(2月13日午後3時遠州灘にて、ただし神戸で投函。)今年10月には帰朝するとのことだ。

常楠から『群書類従第十七輯』が届く。

午後2時頃から妙法山の道の麓の北の杉林に入り、筧を渡してある所を伝っていき峠まで来て右へ折れ、それから左へ下り、溪水まで来て引き返す。これは滝の上流のひとつであろうか。木生地衣を少々、菌若干と、キシミ(尾ではねる)1つ枯木の皮の下からとる。帰ると日暮れ前である。

今夕までに集めた熊野無花植物、745種。
  変形菌1種、菌235種、地衣225種、藻179種、苔35種、蘚70種

カバンの中に3銭あるだけとなり煙草をやめる(17日の夜)。


メモ

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1902年の日記は『南方熊楠日記〈2〉』に所収

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