1909年8月16日:南方熊楠日記(現代語訳)

1909年8月16日

◇8月16日[月]陰、朝微雨

[予定]ブラウンへ催促状を必ず出すこと。

午後、栗山氏が使して Xylaria 1を送られる。午後3時頃から家を出て、栗山氏を新庄真砂彦次郎氏方に訪ね、共に東光寺と跡ノ浦で遊ぶ。バクチノキ(花と実がある)、オグルマまた名の知らないヤマモモのようなもの(葉柄が赤い)を採る。それから橋谷で遊び、ヒナノカンザシを採る。帰ると暗い。真砂氏の座敷で夕飯を食い、提灯を借り、9時前に出て帰り、片町に行き、入湯。帰って飯を食い、臥す。

栗山氏が跡ノ浦塩田でテンボ蟹(爪が白い)を2つ採ってくれる。望潮1とカナダライに入れ、ヒキ六に見せると大いに怪しむ。やがて嫌になり、下女にあちらへ持ち去れという。

ヒキ六サン、バツケヨヨ、バツケルカ(ヒツトロサン、バツチルカ)、バツケルノ(バツチユルノ)イヤカ、と昨年初めよりいうもいうことができず、今日あたりから初めていう。またカキクケコの音は昨今出るのだ。


メモ

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1909年の日記は『南方熊楠日記 (3)』八坂書房 に所収

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