1908年11月22日
◇11月22日[日] 曇
栗山氏が鯉4疋を50銭で買い饗せられる。
朝、萩原馬吉と田辺から来て泊まっている川合千代という人(多屋長又岡茂に奉公したことがある)が十津川へ行くにあたり、荷作りをぐずぐずし、昼前にようやく立つ。
午後、菌類を描く。夕方、野田氏を連れて川辺を歩き、苔と藻を多少取る。ミゾホオヅキの花のあるのも取る。夜、萩原店へ行き、野田と米吉と銭湯に入る。銭湯には筏乗りが多く来て、売婬女と戯れて大いに喧しい。それから萩原店へ行き、山川(巡査上りの人、南部山口生まれ、萩原店にて代書業)等と話し、大いに笑い、帰って臥す。
メモ
ミゾホオヅキはハエドクソウ科ミゾホオズキ属の多年草。
1908年の日記は『南方熊楠日記 (3)』八坂書房 に所収