1908年11月23日:南方熊楠日記(現代語訳)

1908年11月23日

◇11月23日[月] 晴 寒風が強い

朝、栗山氏を辞し、村後の小丘を越え、大居へ回らずに、本宮に行く。祭日につき、神官らしき人が奔走している。玉置屋という茶店にて餡餅を食いに行くと、□□という所に新平民が住む。ここにて須川隆吉の息子ミノルが来る。予は気づかず、馬吉が話をする(馬吉方に下宿したことがあるのだ)。後で聞くと、徴兵に当たり25日に出立とのこと。請川から川湯の田辺屋へ帰ると4時頃である。

夜、鳴石四郎氏(※成石平四郎)が来てちょっと話す。予が田辺で1度会ったことがある。


メモ

この日、神社では新嘗祭(にいなめさい)が行われます。秋の収穫を祝い、感謝するお祭りです。

熊楠が熊野本宮大社にお参りしたのはこの日が最初だと思われます。

鳴石四郎は成石平四郎の誤記だと思われます。成石平四郎は、国家権力によるでっち上げ事件「大逆事件」で処刑された12人の1人。請川村の人。処刑された12人のうち2人が熊野人でした。

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1908年の日記は『南方熊楠日記 (3)』八坂書房 に所収

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