1902年2月12日
◇二月十二日 快晴
天気が暖かに付き、客人が多く参詣、酒食に当宿に立ち寄る者が多い。小畦氏が贈ってくれた『其磧自笑傑作集』が昼下がりに着く。午後3時頃から観音の後山より妙法山に趣く。頂に近づくと日暮れに近い。よって帰る。苔の奇品2種、菌、地衣、蘚を多く取る。この日は暖かかったが、山上は甚だ寒く氷が所々に張りつめていた。
隣室へ奥州人と思われる者が2人泊まる。明日、本宮から高野へゆくという。夜、寝床の中で小畦氏が送ってくれた本を読む。
今夕までに装えた熊野地方無花植物、計697種
変形菌1種、菌211種、地衣213種、藻177種(内訳・輪藻1種、紅藻44種、褐藻28種、緑藻42種、碧藻41種、珪藻21種)、苔30種、蘚65種
メモ
1902年の日記は『南方熊楠日記〈2〉』に所収