1908年11月3日:南方熊楠日記(現代語訳)

1908年11月3日

◇11月3日[火] 雨

[受信]この日の海南時報に予の粘菌目録のことが出る。

松枝の母の妹の孫(福惣の子)が今日生まれる。男子である。

朝、磯間及び神子浜六本鳥居に遊ぶ。磯間にて松王子[松大父]のような菌で、橙色の美しいものを得る。公園に行き、蕈を探したけれども得ず。(今日、磯間猿神社祭り)帰って昨日得た菌と共に図画彩色する。

午後、野田馬吉が来て、福八へ行き、予のために瓶のあきがら等を買い荷作りして、 栗栖川備五店まで出す。 夜12時過ぎより読書。

昨日稲荷社後の小窪溜水中で取った輪藻に混じて、多く Cosmarium conspersum Ralfs 及び Ankistrodesmus falcatus Ralfs を見出す。また Dimorphococcus lunatus A. Br もある。この他に微藻が多くある。

 ヒキ六が昨日より夜を兼ね小便をたびたび夥くする。気候が冷たいゆえであろう。

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1908年の日記は『南方熊楠日記 (3)』八坂書房 に所収

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