1898年9月3日
◇九月三日 [土]
午後、高橋を連れ、ウェストクローヂング会社に行き、服を受け取る。それから帰り、スローン街にて分かれ、予は安飯食い、また高橋を訪ね、安宅を舞い、高橋は大呆れ。それから予は新しい服を着て、所々を歩き帰る。予は高橋と連れ、諸処歩き、高橋は討死の覚悟で飲む。
メモ
高橋勤一は、ロンドン時代の熊楠の相棒。
「安宅(あたか)」は能楽作品。義経主従が奥州に落ちる途中、安宅の関で関守にとめられ弁慶がいつわりの勧進帳を読んでその場を逃れた逸話を描く。
1898年の日記は『南方熊楠日記〈2〉』に所収