紀州俗伝(口語訳8-6)


紀州俗伝(口語訳)

  • 7-1 目が潰れる
  • 7-2 膈の治療法
  • 7-3 カニの甲羅
  • 7-4 はえ,安倍晴明
  • 7-5 誤りを正して
  • 7-6 波風を鎮める
  • 7-7 怪我したときの呪い
  • 7-8 巨蜂に刺されて
  • 7-9 カマキリ
  • 7-10 フクロウが家の近くで
  • 7-11 はしか
  • 7-12 柚の擂り粉木
  • 7-13 リスは魔物
  • 7-14 塩鰹
  • 7-15 馬
  • 7-16 立里の荒神
  • 7-17 雨栗日柿
  • 8-1 子供をくすぐるとき
  • 8-2 野猪を威す方法
  • 8-3 柚の実と鍼
  • 8-4 葬式の行列
  • 8-5 まめのは
  • 8-6 花咲か爺の異態
  • 8-7 山の天狗様
  • 8-8 木地屋

  • 8-6 花咲か爺の異態

     

    猿
    eyes / cotaro70s

     田辺に近い神子浜の老人が「花咲か爺」の異態らしいのを話す。

    昔、老翁が疲れて石に腰掛け休む。猿どもがこれを地蔵の像と思い、柿ひとつを宛て持って来て捧げたのでたくさんの柿を得て帰る。

    隣の欲深翁は自分もそうしようとして石の上に腰掛ける。猿の群が来て地蔵様は尊いので山に祀ろうといって運んで川を渡る間、「私ら陰嚢濡れても構わぬけれど、地蔵様の陰嚢濡らさぬように」と繰り返し唱える。

    老翁おかしさに堪えられず笑い出すと、猿どもがこの像が笑った笑わないと言い争い、また試しに唱えるとまた笑う。よって地蔵蔵でないとわかり、大いにその詐りを憤り、山に運んでいって全身を掻いて傷つけ、老翁は大に苦しんだ。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。




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