本草綱目


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  • 本草綱目(ほんぞうこうもく)

    明の李時珍の撰による薬物書。全52巻、収録薬物は1,892種。
    800種以上の文献を参考にし、度重なる現地調査や標本採集などを行ない、約27年間の歳月をかけ、1578年に完成、1596年に出版されました。

    1,892種の薬用植物、動物、鉱物などを16部60類に分けて、その形状、産地、製薬方、薬効などを解説しています。

    中国はもちろん、朝鮮半島、日本でもしばしば出版され,もっともすぐれた薬物書として流布しました。

    現在もっとも入手しやすいのは、小野蘭山が和名や用法などを付記した『本草綱目啓蒙』。平凡社、東洋文庫の『本草綱目啓蒙』全4巻。

    「本草」とは、中国および日本の伝統的な薬物学、あるいは和漢薬やそれを記した書物のこと。



    本草綱目

    南方熊楠の手紙:履歴書(口語訳3)
    小生は次男で幼少の頃より学問を好み、書籍を求めて8、9歳の頃より20町、30町も走り歩き借覧して、ことごとく記憶して帰り反古紙に写し出し、繰り返し読んでいた。『和漢三才図会』105巻を3年かかって写す。『本草綱目、『諸国名所図絵』、『大和本草』などの書籍を12歳のときまでに写し取った。

    南方熊楠の随筆:きのふけふの草花

    今さきをる石竹科の花に、道灌草は昔、江戸の道灌山に植たといふ。漢名王不留行、本草綱目にその薬性走つて止まらず、婦人服し了つて乳長く流るといふ語あり、王命ありと雖もその行をとゞむる能はず、ゆゑに名づくと釈く

    南方熊楠の随筆:十二支考 虎に関する史話と伝説民俗(その2)
    虎の記載を学術上七面倒に書くより『本草綱目』に引いた『格物論』(唐代の物という)を又引またびきするが一番手軽うて解りやすい。いわく虎は山獣の君なり、かたち猫のごとくにて大きさ牛のごとく黄質黒章きのしたじくろきすじ鋸牙鉤爪のこぎりばかぎのつめ鬚健にしてとがり舌大きさ掌のごとくさかさまはりを生ず、うなじ短く鼻※(「鼾のへん+(巛/邑)」、第4水準2-94-74)ふさがる、これまでは誠に文簡にして写生の妙を極め居る。さてそれから追々支那人流の法螺ほらを吹き出していわく、夜視るに一目は光を放ち、一目は物をる、声ゆる事雷のごとく風従って生じ百獣震え恐るとある。

    南方熊楠の随筆:十二支考 虎に関する史話と伝説民俗(その4)
    これは『水経註すいけいちゅう』に見えた水虎の話を西人が誤聞したのでないか。『本草綱目』虫部や『和漢三才図会』巻四十にも引かれ、わが国の河童かっぱだろうという人多いが確かならぬ。


    南方熊楠の随筆:十二支考 虎に関する史話と伝説民俗(その25)
    本草綱目』に※[#「豸+干」、57-9]は胡地の野犬状狐に似て黒く身長七尺頭に一角あり老ゆれば鱗あり能く虎豹蛟竜銅鉄を食う猟人またこれを畏るとある、インドにドールとて群を成して虎をくるしむる野犬あり縞狼ヒエナの歯は甚だ硬いと聞く、それらをジャッカル稀に角ある事実と混じてかかる談が生じただろう。


    南方熊楠の随筆:十二支考 虎に関する史話と伝説民俗(その32)
    本草綱目』等に言える※(「豸+區」、第4水準2-89-8)ちゅこ、英語でウィヤーマン、※(「豸+區」、第4水準2-89-8)人また※(「豸+區」、第4水準2-89-8)ちゅぼう、英語でウィヤータイガー、前者は虎人に化け後者は人虎に化けるのだ、支那、インド、マレー半島その他虎の産地には大抵この俗信が存する、

    南方熊楠の随筆:十二支考 虎に関する史話と伝説民俗(その36)
    本草綱目』に虎皮を焼いてめば卒中風を療す、また瘧疾おこりを治し邪魅を避くと[#「邪魅を避くと」は底本では「邪魅をくと」]づ。

    南方熊楠の随筆:十二支考 虎に関する史話と伝説民俗(その37)
    本草綱目』に越地えつち深山に治鳥じちょうあり、大きさ鳩のごとく青色で樹を穿うがって※(「穴かんむり/果」、第3水準1-89-51)を作る、大きさ五、六升の器のごとく口径数寸かざるに土堊どあを以てす、赤白相間あいまじわり状射候まとのごとし。木を伐る者この樹を見ればすなわちこれを避く、これを犯せば能く虎を役して人を害し人の廬舎ろしゃを焼く、白日これを見れば鳥の形なり、夜その鳴くを聞くに鳥の声なり、あるいは人の形とる、たけ三尺たに中に入りてかにを取りて人間の火についてあぶり食う、山人これを越祀の祖というと載す。

    南方熊楠の随筆:十二支考 兎に関する民俗と伝説(その2)
    それから支那で跳兎、一名蹶鼠げっそというはモレンドルフ説にジプス・アンタラツスでこれは兎と同じ齧歯獣だが縁辺やや遠く、『本草綱目』に〈蹶は頭目毛色皆兎に似て爪足鼠に似る、前足わずか寸ばかり、後足尺に近し、尾また長くその端毛あり、一とび数足、止まるとすなわちつまずたおる〉とづ、英語でジャーボアといいて後脚至って長く外貌習慣共にオーストラリアのカンガルーに似た物だ(第四図[#省略])。

    南方熊楠の随筆:十二支考 兎に関する民俗と伝説(その3)
    まず『本草綱目』に『礼記』に兎を明※めいし[#「目+示」、97-8]といったはその目まばたかずに瞭然たればなりとあるは事実だが兎に脾臓なしとあるは実際どうだか。






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