紀州俗伝(現代語訳5-14)

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紀州俗伝(現代語訳)

  • 5-1 田辺のコオロギの鳴き声
  • 5-2 卵の殻
  • 5-3 和歌山及び田辺の手鞠唄
  • 5-4 田辺の手鞠唄
  • 5-5 マタタビ
  • 5-6 4人が5人に
  • 5-7 虫除けの札
  • 5-8 胎衣
  • 5-9 揺岩
  • 5-10 数えると落ちる
  • 5-11 何度も言ったら
  • 5-12 モー疝気腹痛
  • 5-13 筆草,筆拭草,金比羅
  • 5-14 犬伏せの呪,蜂伏せの呪
  • 5-15 雷伏せの呪
  • 5-16 寒蝉の鳴き声
  • 5-17 秋の日焼け
  • 5-18 月夜の結婚式ごっこ
  • 5-19 猿を忌む
  • 5-20 護摩焚き,河童
  • 5-21 ムカデ伏せの呪
  • 5-22 味噌桶を洗うと
  • 6-1 石芋,弘法大師

  • 5-14 犬伏せの呪、蜂伏せの呪

     

    犬
    Desert Dog Looking for Trouble / kretyen

     崎下氏はいま27歳。15のとき、故郷上芳養で村で他人の使いをしに歩くとき、毎夜犬に吠えられすこぶる困る。この前和尚であったが還俗した人が犬を伏せる方法を教えてくれた。

    犬に向かい、戊亥申酉より丑子まで十二支を逆に3度唱えれば、決して吠えないと。ちなみに一夜寝ずに熟練して、犬に向かい試みたが、ちっとも効がなかった。

    ある人に語って別の方を授かる。戊亥子丑寅と五支の名を唱えつつ5指を折り固めるのだ。これもその験を見なかった

     また山野で草を刈るとき、人の身長ほどの小木に七里蜂の巣があり、どうもすれば蜂が飛び出てはなはだ迷惑しする。上芳養の村人はときどき蜂伏せの呪を行うがはなはだ効がある。その法は木の葉1枚を採り、「シッポウキョウソワカ」(七宝篋蘇婆訶?)と3度唱え、竹棹の先を割ってその葉を挟み、蜂の巣に寄せ懸ければ蜂は飛び出ない。たとえ出るとしても刺さない。ただし何の秘咒も、無闇に人に話すと効かぬものだと。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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