紀州俗伝(現代語訳15-1)

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紀州俗伝(現代語訳)

  • 14-1 打出の小槌
  • 14-2 蟻の群れ
  • 14-3 アナグマが女に化けること
  • 14-4 猴神社
  • 14-5 馬を忌む稲荷神社
  • 14-6 紀州豊年米食わず
  • 14-7 猫が蟻を
  • 14-8 犬の脚
  • 14-9 盗人避けのまじない
  • 14-10 陰暦十月亥の月
  • 14-11 毒虫毒魚に刺された時
  • 15-1 紀州の七人塚
  • 15-2 血を吸わない蛭
  • 15-3 肉吸いという鬼

  • 15-1 紀州の七人塚

     

     紀州の七人塚 紀州西牟婁郡長野村大字馬我野(ばがの)字鎌倉に七人塚という所がある。塚は今はない。むかし7人の山伏がここに住んでいた。ある日、田辺沖を通る船に向かって秘術をもってこれを止めると、船の中にもえらい者がいて沖から山伏どもを見つけ、秘術を行って止めたから7人の山伏はみな動くことができず、ついにここで死んだという。今もまだ沖を通る船からここを望むと、一点の青い光が怪しく夜光るという。以上、本年7月11日の牟婁新報より抄出する。

    また森彦太郎氏の通信に日高郡上山路村大字西にも七人塚がある。鶴が城が落ちたとき戦死の7士を葬ると称して塚の上に小祠がある。

    なお『紀伊続風土記』牟婁郡三里郷伏拝村(今の東牟婁郡三里村大字伏拝)の条にも七人塚を記し、堀内左馬助が鬼ケ城を攻めたとき、37人が手負い、死んだ。その7人を葬った所で碑石1基があると見えているとのことである。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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